1学期最後の日の午後、保護者の皆さんに自宅保育のご協力をいただき、全教職員で打ち合わせを行うことができました。打ち合わせの中で、当たり前になっていることを問い直す取り組みをしたところ様々な意見が出てきましたが、その中で以上児のトイレスリッパが男女で分けられているのはどうなのかという問いが挙げられました。ピンクは女児、青は男児。多様性(ダイバーシティ)の時代、幼児期であっても型にはめ込む事につながるのではないかと議論しました。結果、選択を子どもに委ねるべきだという事になりました。
この夏、ある研究会で本園の保育の根幹を揺さぶられるような機会を得ました。自発的な遊びを大切にすること、豊富な遊具や材料に囲まれてこそ豊かで深い学びにつながるような遊びとなることが、すべての子どもが望んでいることなのかと。
ここで今の本園の保育の立ち位置を、保育界の歴史をざっくりと振り返りながら語らせてください。昭和の後期、保育界は教師主導型の保育に傾いていました。まるで小学校の様に時間で区切って授業のように保育をしているところさえありました。実はいまだに「昭和の保育だね」と称されるような保育を行なっているところが結構あるのも事実です。
平成に入って、自発的な遊びを重視する保育へと転換されたのは、教師主導型の「昭和の保育」から子ども中心の保育への転換でもあったのです。環境に子どもが働きかけて、遊びや生活を展開していくことが重視されたのです。先生の存在は、指導的でありつつも、どちらかというと援助者という位置付けとなりました。本園の保育の立ち位置はまさにここにあります。
さて時代は令和となりました。令和の保育も平成の保育の延長にあると思っていましたが、保育は大転換(発展)しなければいけないことがこの夏の研究会で気付かされたことなのです。そのキーワードはダイバーシティであり、インクルーシブであり、個別最適な学び、エージェンシーなのです。男女の隔たりなく、障害の有無に関係なく、人種などにもとらわれない、まさに“その子”が必要としている保育をオーダーメードで提供し、しかも解決の困難なことに立ち向かい最適解を見出す力を育てていく時代なのです。
本園は平成の保育の型に子どもをはめ込もうとしていたのかもしれません。ほとんどのお子さんはそこで自己発揮していたし、保護者からもご理解いただけていました。しかし私が園長になって17年の間に、本園の保育に馴染めていない様に思えるお子さんもいました。
令和の保育とは、保育の型が先にあるのではなく、一人ひとりの子どもに応じた保育方法の模索と提供、そして反省というサイクルの中で成就させていくものだと思います。
トイレスリッパを子どもが選択できるように、保育の型も子どもが選択できるような柔軟さで、一人ひとりに適したオーダーメードの保育を目指していこうと思うのです。
園長 吉田耕一郎