お知らせ

2023/12/15

北光幼稚園はいろいろなことをしていますよ

今年ももう年の瀬を迎えました。この一年、本園の取り組みに対し、たくさんのご協力をいただきましたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

さてすでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、本園は東棟(旧園舎)において、さまざまなことを行なっております。北光幼稚園の直轄事業として、マタニティー・ベビークラブ、ぴよぴよひよこクラブを行なっており、未就園の親子の集いの場を設け、遊びやリフレッシュ、仲間作りの場として好評です。この事業は開始から17年になり、今後国の子育て制度が子ども誰でも通園制度というものになってきた時の受け皿になることを想定しています。

そして今年、“ミナパホッコウ”という個人事業を立ち上げ、直轄事業ではない収益のある事業はこちらに組み入れることとしました。ちなみに“ミナパ”とは、みんなが笑うというアイヌ語から命名しました。“ミナパホッコウ”では、こどもの学びのとして、英語教室、書道教室、体操教室を外部委託で行なっています。今後小中学生を対象として宿題カフェを行いたいと思っています。さらに憩いの場として、11月14日に幼稚園カフェを開業しました。こちらは、まだ産声を上げたばかりで模索中ですが、コンセプトは本園の子ども保護者や教職員、地域の子育て家庭、老人の方の憩いやリフレッシュを上質な飲み物や食事を安価な価格で提供しようとするものです。今後価格改訂やメニューの改善をしながら、皆さんに利用およびリピートしていただけるカフェにしていきたいと思っています。更にさらに、地域開放事業として、さまざまな地域活動に利用してもらっています。大変好評の子ども食堂、南部包括センターのオレンジカフェ、その他さまざまなイベントにお貸ししています。

このように、北光幼稚園というハードが多くのそしてさまざまな方の地域活性化の役に立っていただければとても嬉しいです。

もとより、本体の保育の質向上を第一義として改善探究しながら、その信頼をベースにしながら、これらさまざまな活動に取り組んでいきたいと思っています。皆様のご理解、ご協力、そしてご利用を心から願っておりますので、よろしくお願いします。

園長 吉田耕一郎


2023/12/01

子どもが主体的に作る行事はその後も発展する

例えば、運動会。教師主導で作られた運動会は、運動会当日をもって、教師側も子ども側も全て終了し、その後に運動会競技に取り組む姿はほとんど見られません。中には、運動会競技の用具を全て片付けてしまう園もあります。この終わりの感覚は、まさに教師側の感覚で、子ども側のそれとは違うと考えます。子ども主体の取り組みであればあるほど、その終わりは、子どもが決めるものです。行事の取り組みにおける“当日”はプロセスの一段階で、その後さらに取り組まれることで深い学びとなっていくと考えているのです。具体的には運動会で行った年長競技のリレーが年中さんに伝わっていったり、違う踊りへと展開していったりする姿が見られ、広がりや深まりとなるのです。

さて、今年の発表会について、年長さんの当日までとその後を紹介したいと思います。例年通り、子ども主体の行事として、子どもが作り上げるものとして援助してきました。今年は特に、全ての衣装・小道具・大道具を子どもたちが作ることとしました。特に衣装に関してはこれまで幼稚園にストックされている衣装や先生方が作るものとなっていましたが、今年は完全に子どもが作ることとしました。子どもの今ある力を発揮して、必要度に根付いた衣装作りです。素材はカラービニール袋ですので、使用や練習のたびに破損していくのですが、修繕を通して、衣装がグレードアップしていきました。そんな衣装を着用して行われた発表会が終了した時、深い感動を覚えましたし、多くの保護者の目が潤んでいました。

その後は“発表会ごっこ”と称して、役割の交代や新たな発表テーマや衣装作りに取り組んでいます。まさに幼稚園の日々を子どもたちが遊びを通して主体的に展開しつつ、遊びを広め深めることで、学びが深まっている姿だと思います。

園長 吉田耕一郎


2023/11/14

保護者と協働して


10月に来年度の園児募集が始まり、受付も開始されました。今年も多くの方から問い合わせがありました。そしてその全ての方が見学されました。その際には園環境を見ていただきながら、本園の保育の方針や方法についてお話しさせていただきましたところ、ほとんどの方がホームページを見た上で来園されていて、ご理解していただけているなと思いました。おそらく、新年度も保護者の方と同じ方向に向かって協働してお子さんの教育・保育にあたっていけるだろうと思います。

しかしながら、この方針や方法を理解してくれているということで、私たちの考え方だけで保育をしていっていいというわけでもありません。これは「ひとりよがり」の保育と言わざるを得ません。おそらく総論では本園の保育を良かれと思って入園してきてくれていますが、各論では違和感をお感じになることもあると思います。その違和感こそ、私たちが気付いていない改善のきっかけだと思っています。

例えば、幼稚園まつりは多くの保護者の皆様にお手伝いいただき、大成功でしたが、反省点や改善点をたくさんいただきました。第2回男クラブの遊具ペンキ塗りにも多くのお父さんのお力をお貸しいただけましたし、その後の直会では、今後の活動提案をたくさんいただきました。

保護者の方と協働することは、常に耳を傾ける姿勢を持っていることだと思います。お子さんの教育・保育環境をさらに向上させるためにも、実直でありたいとおもますので、今後ともご意見たくさんお願いします。

園長 吉田耕一郎

追伸)園児募集と相まって、職員採用試験も随時行ってきました。保育人材の確保が困難な時代ではありますが、幸いにも本園を希望される方が多くいらっしゃってくれました。やはり、子ども主体の保育を目指すということはお子さんにとっても教職員にとっても理想なのだと確信しています。今後もお子さんにとって最善の保育を目指し、教職員にあってはワークライフバランスの取れた職場を目指して、日々改善していきたいと思っています。

生活が陶冶する ペスタロッチ


幼児期の子どもは、可塑性や柔軟性が高く、目に見えて変化成長していく時期です。どのような環境の中でも適応しようと一心に努力しているとも言えます。

近代教育の父と言われるペスタロッチは著作の中で「生活が陶冶する」という言葉を残しています。陶冶とは、(陶器を造ることと、鋳物を鋳ることから)人間の持って生まれた性質を円満完全に発達させること、人材を薫陶養成すること、という意味がありますから、「生活が陶冶する」とは、生活そのものが人間を発達させるということを意味します。まず母親との生活の中で教育が行われ、徐々に広がっていく生活範囲や人間関係、社会生活等、生活そのものが人間を成長させると述べているのです。やみくもに生活をしていればいいというものではなく、それは子どもにとって教育的な生活でなくてはならないと言えるのです。また「直感教授」も提唱しています。直観教授とは、子どもの経験や自発性を重んじ、実物や絵画・模型・写真などを用い、感覚に訴え学習の促進を図る教授方法のことです。総じて子どもの直観や自発性を大切にした思想は、日本の教育にも受け継がれているのです。

ただ、幼児教育に携わっていて、幼児期の子どもは与えられる環境によってどのようにでも適応することに怖さを感じています。文頭でどのような環境の中でもと表記したのは、貧しい教育環境・生活環境の中ではそれなりにしか成長しませんし、教師主導型の昭和の保育のような中にあっても適応してしまうのです。

やはり、豊かな遊具や材料に囲まれ、主体的・自発的に生活できる時間と環境が保障され、豊かな感性を持った先生の援助が、幼児教育の本質なのだと思うのです。私たちは幼稚園での生活を常に振り返りながら、保護者の方は日々の生活を振り返りながら、子どもらしく豊かに成長発達できるようにしていきたいですね。                     

園長 吉田耕一郎

2023/09/19

“とあくんのティラノザウルス”と“こうすけくんのドラゴン”

 

残暑が厳しすぎて、秋の気配はと思っていたら、一気に涼しくなったりまたまた暑くなったりと何とも変動の激しい今日この頃ですので、体調管理にお気をつけください。幼稚園では、じゃがいもの収穫時期となりました。今年も昨年同様に広く作付けを行い、たくさんの収穫を目指し、幼稚園でも食べ、自宅へもたくさん持ち帰れるようにと考えました。楽しい食卓を飾っていただけましたか。
 さて、今月のお題は、年長さんの遊びの様子です。左の写真は、図鑑をかなり忠実に再現しようとした“とあくんのティラノザウルス”です。ほぼ2週間、ほとんど一人で作り上げたそうです。実は以前、担任のたっぺい先生と合作で一体作ったのですが、今回は自力で作ろうとしたとのことでした。各パーツを様々な材料を駆使して作り、この日はすべて装着し、展示までしていました。

こちらは“こうすけくんのドラゴン”です。こうすけくんも、2週間ほどかけて作っているのですが、とあくんとの違いは、「にじ色のドラゴン」という空想・想像の実現です。まずはデッサンし、それに基づいて作成したとのことです。こちらは主に各色の布ガムテープを使いにじの模様を再現しようとしていますね。「体の割に足が小さかった」とか言いながら作っていました。
両者に共通しているのは、遊びの持続期間が長くなっていること、試行錯誤を繰り返していること、実像やイメージを再現する力が伸びていること、細部だけではなく全体にも気を配りバランスも考えていることなど、とにかく多岐にわたっての成長がうかがえることです。この活動は、大なり小なり周囲とも影響しあっていて、“博物館ホテルごっこ”ダンボール箱を駆使した“お家作り”、ダンスユニット“リトルクラスB組”などなど、アトリエ全体で、様々な取り組みが継続的に行われているのです。その成長ぶりに感心していますし、先生方が適切な援助をしてきた成果でもあるのだと思うのです。「北光幼稚園、すごいなあ」と思っています。                       

園長 吉田耕一郎

オーダーメードな保育へと

1学期最後の日の午後、保護者の皆さんに自宅保育のご協力をいただき、全教職員で打ち合わせを行うことができました。打ち合わせの中で、当たり前になっていることを問い直す取り組みをしたところ様々な意見が出てきましたが、その中で以上児のトイレスリッパが男女で分けられているのはどうなのかという問いが挙げられました。ピンクは女児、青は男児。多様性(ダイバーシティ)の時代、幼児期であっても型にはめ込む事につながるのではないかと議論しました。結果、選択を子どもに委ねるべきだという事になりました。

 この夏、ある研究会で本園の保育の根幹を揺さぶられるような機会を得ました。自発的な遊びを大切にすること、豊富な遊具や材料に囲まれてこそ豊かで深い学びにつながるような遊びとなることが、すべての子どもが望んでいることなのかと。

ここで今の本園の保育の立ち位置を、保育界の歴史をざっくりと振り返りながら語らせてください。昭和の後期、保育界は教師主導型の保育に傾いていました。まるで小学校の様に時間で区切って授業のように保育をしているところさえありました。実はいまだに「昭和の保育だね」と称されるような保育を行なっているところが結構あるのも事実です。

平成に入って、自発的な遊びを重視する保育へと転換されたのは、教師主導型の「昭和の保育」から子ども中心の保育への転換でもあったのです。環境に子どもが働きかけて、遊びや生活を展開していくことが重視されたのです。先生の存在は、指導的でありつつも、どちらかというと援助者という位置付けとなりました。本園の保育の立ち位置はまさにここにあります。

さて時代は令和となりました。令和の保育も平成の保育の延長にあると思っていましたが、保育は大転換(発展)しなければいけないことがこの夏の研究会で気付かされたことなのです。そのキーワードはダイバーシティであり、インクルーシブであり、個別最適な学び、エージェンシーなのです。男女の隔たりなく、障害の有無に関係なく、人種などにもとらわれない、まさに“その子”が必要としている保育をオーダーメードで提供し、しかも解決の困難なことに立ち向かい最適解を見出す力を育てていく時代なのです。

本園は平成の保育の型に子どもをはめ込もうとしていたのかもしれません。ほとんどのお子さんはそこで自己発揮していたし、保護者からもご理解いただけていました。しかし私が園長になって17年の間に、本園の保育に馴染めていない様に思えるお子さんもいました。

令和の保育とは、保育の型が先にあるのではなく、一人ひとりの子どもに応じた保育方法の模索と提供、そして反省というサイクルの中で成就させていくものだと思います。

トイレスリッパを子どもが選択できるように、保育の型も子どもが選択できるような柔軟さで、一人ひとりに適したオーダーメードの保育を目指していこうと思うのです。

園長 吉田耕一郎

幼児期に非認知的能力を育てることの意味

能力の捉え方に、認知的能力・非認知的能力という捉え方があります。認知的能力とは、知識や技能などのいわゆる「学力」やできるようになったことが目に見えるような技術のことです。これは「授業」「探究活動」とか「設定保育」などを通して得られます。一方の非認知的能力とは、目標の達成に向けての忍耐力、自己抑制など、他者との協働いわゆる社会性、思いやりなど、さらに楽観性や自尊心や自信も含まれます。これは質の高い「遊び」「アクティブラーニング」から得られます。

後者の非認知的能力を幼児期に育てることの重要性が叫ばれ始めたのは、2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ・J・ヘックマンの「幼児教育の経済学」が2015年に出版されてからです(原題Giving Kids a Fair Chance)。
先日、教育経済学者の中室牧子慶應大学教授の講演を聞く機会がありました。教育経済学では教育を投資と捉えており、いつ投資したら効果が高いか(これを収益率というそうです)をデータに基づいて検証しています。収益率では、将来(大人になってから)の幸福感、所得、犯罪発生率などをみていけるそうです。それによると、認知能力の効果は限定的である一方、非認知的能力はその効果が長期的であることが証明されています。特にコミュニケーション能力の高い人はチームの生産性を高めてくれるそうです。中室先生は、これからの社会は「勉強だけでは活躍できない時代」になると断言されていました。また非認知能力が高まると認知能力も高まるがその逆は観察できないとも言っていました。つまり、乳幼児期に非認知的能力高めること、いわゆる質の高い遊びを十分に経験していると、収益率が高まるとおもに、学力などの認知能力も高まるということなのです。

園長 吉田耕一郎

2023/07/18

“年長さん”のかき氷屋さんから私が学んだこと

暑い日が予想された日の前日、私は年長さん数名に“あしたは暑いから、かき氷屋さんをしませんか?”と提案しました。その提案は一気に以上児全員に駆け巡り、さまざまな声が私に届けられました。「シロップは“レモン”“ブルーハワイ”にして」とか「おかわりできるの」とか。きっと6月20日の帰宅後にお子さんは「明日かき氷食べられるんだよ」とか言っていたのではないでしょうか。私はこの取り組みの中心を年長さんにと考えていましので、年長さんには「一緒にやりませんか」と声掛けしておきました。

さて当日朝、早速私の元に駆けつけてきた年長さんへ、園庭東屋への用具運び、お店構え作りやシロップごとの看板作りを投げかけ、それに対してこれまでの経験の積み重ねを活かして、ほぼ年長さんだけで協力して準備したのです。ここまでは“さすが”という感じでした。

さあ、開店直前となり、各シロップごとに7〜8名並んだ子どもたちに、“シロップをかける順番を決めたらいいよ”と問題提起をしました。例えば1回交代とか2回交代とかを当然決められるものと思い、子どもに任せていました。ところが‥

大盛況のうちにかき氷屋さんが展開され、終わりに差し掛かった時、一人の年長さんが私の元に来て「私、一回もシロップかけていない」と訴えてきました。“えっ”と思い改めて各グループの先頭でシロップをかけている子を見ると、おそらく全く交代していないであろうと思われる子が二人いました。私から“交代しながらしてますか”と問いかけたところ、気まずそうな顔をしました。

しかし、もっと気まずいのは私の方です。“年長さんなら順番を決め、仲間のことも考えて交代するであろう”と思いこむだけで、そこのあたりのやり取りを見ていなかったことです。これは、このかき氷屋さんを通して子どもに身につけてほしい経験の一つを見逃したということです。

子どもとある活動を展開しているとき、教師は活動展開がスムーズに流れることに目を奪われ、子どもの細やかなやり取りや心情を見落とすことがあります。まさにそれでした。

私は反省し、二日目のかき氷屋さんでは、できるだけ子どもの姿をしっかり把握するようにしました。

保育はやはり子どもから学びながら収斂していくということを痛感した次第です。

園長 吉田耕一郎

2023/06/22

インクルーシブな保育を目指して

 国連の障害者権利委員会は昨年9月、障害者権利条約に基づき、日本政府に対して障害児を分離した特別支援教育の中止などを求める勧告を発表しました。また国連は障害児と健常児が共に学ぶ「インクルーシブ教育」を掲げ、欧米などで浸透していますが、日本では十分に進んでいないと言われています。2016年4月に施行された「障害者差別解消法 (正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」により、障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障されるとともに、教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせて配慮(合理的配慮)を可能な限り提供することが、行政・学校・企業などの事業者に求められるようになりました。

30年ほど前、北海道の福祉施設の方たちとデンマークの福祉施設を視察してきました。当時からノーマライゼーション先進国としてのデンマークでは、障がい者の人権がしっかりと根付き、社会参加も進んでいて、日本との違いを痛感した記憶があります。
30年後の今、私たちの住む日本は、デンマークに追いついているのでしょうか。障がい者施設における虐待事件などを聞く限りではまだまだだという感を持ちます。

北見北光幼稚園はどうでしょうか。特別な支援の必要なお子さんが、そうではないお子さんと共に育ち合う状況になっているでしょうか。まだ特別な支援の必要なお子さんを集団に組み入れようとするベクトルが強いのではないでしょうか。集団を特別な支援の必要なお子さんがいるからこそ育つというポジションにはまだなっていないように思います。

来るべき運動会を例にして説明してみますね。特別な支援の必要なお子さんは、その意思に関係なく競技に参加させるべきなのでしょうか。そのお子さんにとっての参加のスタイルを尊重すべきなのではないでしょうか。競技に参加はしなくても、その子なりの参加―友達の競技を見る、同じ場で過ごそうとする、部分的に参加するなどーが認められるべきなのではないでしょうか。しかも、その姿を他の子が理解していることが重要です。インクルーシブな保育・教育は、分離教育からは生まれづらく、共生によって達成されるということを肝に銘じながら、本園の教育・保育の根幹にしていきたいと思います。

園長 吉田耕一郎

2023/05/25

健全な成長を求めて

進級・新入した子どもたちは、徐々に環境や先生に慣れてきました。進級の子どもたちは、アトリエがかわりその楽しい使い方を知ってきました。にじさんはますます生活習慣面での自立が促される中で逞しく成長しているところです。年少さんにとっては、おおきいにじ後半に経験してきた午睡のない生活(注1)やどきどきタイムやミーティング(注2)に馴染んできています。年中〜長さんは、とても落ち着いて生活しているように思います。一方、新入の子どもさんたちは、そこそこ高い成長のハードルを乗り越えた4月となったことと思います。朝泣いていた子が泣かないで登園できるようになったり、生活の流れをなんとなく体で覚えていったりと、さまざまな姿を見せてくれています。にじさんに入園した子は、先生との信頼関係を構築していっています。以上児に入園した子は、早速友達を作って遊び始めています。

今年も、本園の特徴である自発的な遊びを大切にする保育をさらに深めていくことはもとより、生活習慣面や集団生活面での一層の成長を促していきたいと思っています。


その際に、乳幼児の育ちの基本となる親子関係を充実していただきたいと思います。なんと言ってもこのベースをしっかり作っていただけなければ、本園がどんなに頑張っても、お子さんの健全な成長は望めないのです。

今、保育界では“保育の長時間化によって子どもの健全な成長が阻害されているのではないか”と懸念されています。少なくとも本園で過ごす子どもにあっては、そうなってほしくないと願っているのです。

以下具体的にお願いします。

・お仕事のお休みの日は家庭保育をお願いします。

・勤務時間を大幅に超えて利用するのもお控えください。7:30〜18:30は幼稚園の開所時間(11時間)であって、11時間フルに預けられるというものでもないと思います。その時間の中で、勤務時間+通勤時間での利用をお願いします。

・18:30までの利用の方は、18:20までにはお迎えに来てください。


 保護者との親密な関わりの必要な乳幼児期は2度とありません。小学生以降、いやでも子どもは自立していきます。その時に親密な親子関係を形成したお子さんは真っ直ぐに育っていくと言われています。

本園が幼保連携型認定こども園となって今年で7年目になります。昨年度、6年前に0歳児で入園した子が卒園を迎えましたので、二回り目に入り、本当の意味で、お子さんの健全な成長を保護者・ご家族の皆様のご理解とご協力を得ながら実現していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

                              園長 吉田耕一郎


(注1)以上児は午睡をしていません。発育発達学的に以上児における午後1〜3時は活動に適した時間と言われています。従いまして、特に年少さんはお帰りになる時に車の中で寝てしまって朝まで起きないということもあると思いますが、正常な姿で、たっぷりと遊んだ満足感に満ちたお子さんの状態です。徐々に体力がついていく中でそのようなこともなくなるでしょう。

(注2)本園ではいわゆる設定保育(クラスなどみんなで取り組む時間)をドキドキタイムと言っています。これは子どもの現在の興味や関心に根ざした経験の機会としていて、先生の一方的な活動強要にならないようにしています。また他園では朝の会などと言っていますが本園では他園で行っているような型にはまった朝の会は行わず、子どもたちが経験したこと、気づいたこと、これから取り組んでいくことをみんなで話し合う時間をミーティングと言っています。


2023/04/24

2023 入園・進級おめでとうございます

ご家族の皆様にあっては、お子さんの入園・進級という成長の節目を迎え、お喜びのことと思います。おめでとうございます。

おそらく、お子さんが本園の生活に馴染んでいく事に不安もあろうかと思います。

お子さんの進級への不安を軽減するために本園では、3月に新年度のクラス・担任と新しいクラスで集まったり、新しく使う場所に子ども自身が所持品を移動したりしました。きっと不安は少なくむしろ楽しく過ごし始めることと思いますので、安心して送り出してください。それでも不安が強いようであれば担任にお伝えください。

 また新入園児に関しましても、一人ひとりのお子さんの様子を面接時に把握させていただいておりますので、入園当初の不安感が少なくなるように担任がしっかり寄り添って保育をしていこうと考えています。また本園の遊びのリーダーである進級児が優しく接してくれて過ごすことと思います。初めての保護者にとっては初めての子離れとなり、不安と寂しさが入り混じっていることと思います。入園は親子にとって成長の節目ともなりますので、乗り越えていってください。そして、どうぞご心配なく送り出してください。

 本園では、多くの教職員によってお子さんを教育・保育していきます。幼児期の育ちや学びは、遊びを通して行われます。自発的な遊びを中心とした保育を大切にして取り組んでいきます。教師の適切な援助(指導)のもと、深い遊び(学び)になるようにしていきます。

 新入園児も進級児も、家庭での暖かい子育てのもと、本園では受容的・応答的な関わりをする教職員に支えられながら、本園の遊具・材料・環境に自発的主体的に関わる中で、確実に成長していけるようにしていきたいと考えています。

 加えて、以上児は各学年2クラスの少人数でのクラス編成とし、これまで以上に手厚く保育できるようにしました。今後ご説明しますが、「プロジェクト活動」という探究的な保育を目指していこうと思っています。また、2歳児以上は一人一人の成長をしっかりと記録化・見える化できるように「ポートフォリオ」というものも書くようにしました。

 さらに、4月より、幼稚園内のセキュリティーレベルを上げ、みなさんのお子さんの個人情報を今まで以上にしっかりと保護します。

 

今年度も皆さんの子どものために、さらには地域の幼稚園としての機能を発揮できるように、積極的に改善していきたいと思っています。

保護者の皆様、どうぞよろしくお願いします。

   園長 吉田耕一郎


2023/03/29

今年度の最後に 「愛を積み重ねる」

振り返ると、あっという間に一年が過ぎました。今年度も、コロナ禍に対応した中で保育を展開し、協力いただきました。できるだけ中止せずにさまざまな行事を開催方法の工夫や参加人数の制限などをして実施できました。毎朝の健康調査やマスクの着用の協力等々もありがとうございました。新年度はほぼ以前の生活様式に戻るようですが、コロナ禍で得た改善点は生かしていこうと思っています。

さて以前のお便りで、今を生きる子どもたちの将来は予測が困難で複雑な世の中になるとお話ししました。そのような時代を生きる子どもたちにとって必要な力は、エージェンシー(困難な状況を自分ないしは仲間と共に乗り越える力)であり、正解を見つける力よりも状況に合わせた最適な解を見つけ出す力であることだとお伝えしました。だからこそ、幼稚園では、教えられた通りに物事を行うことではなく、自由に遊ぶ中で目的を持ち、仲間と切磋琢磨することが必要なのです。

しかし実はそれを支える、いつの時代も変わらないものがあることをお伝え忘れていました。それは、親の愛、家族の愛、仲間の愛です。困難に直面した時、つまずいた時、人は一人で解決しているわけではありません。乳幼児期には成長の課題を、親の愛や先生の愛があるからこそ乗り越えていきます。学童期・青年期はそれに仲間の愛が積み重なって原動力になります。成人期以降は人によっては夫婦という愛も付け加わって行く場合もあるでしょう。どのような場合も蓄積された愛の量が困難を乗り越える原動力になります。

その愛の量は、困難を超えるごとに消耗するのではないかと思います。成人期に困難を乗り越えられない苦労をする人も多くいます。きっと蓄積されていたはずの愛が、かなり消耗してしまったから、困難を乗り越える原動力が弱ってしまっているのかもしれません。とするならば、どのように愛は補充されるべきなのでしょうか。

それは、子どもに対して親は、一生愛を注ぐことが必要だということではないかと思うのです。大人になった我が子に「愛してるよ、大好きだよ」とは言えないかもしれませんが、話を親身になって聞くことや一緒に食事をすることはとても大切なことだと思います。

今月無事に子どもたちはそれぞれの学年を終えることができました。翌4月には進級することなりますが、この時に子どもたちは進級というステージを乗り越えなければなりません。親の愛が必要なタイミングです。たっぷりと子どもに愛を注ぎましょう。

                                                     吉田耕一郎


2023/03/12

子どもの人権を擁護する保育

 


先日、他園の先生が本園を見学に来られました。見学後に感想を伺ったところ、子どもの自発性が尊重された保育が展開されていることや、一人一人がよく育っているとの高評価をいただきました。しかし一方で、いくつか指摘していただいたこともあります。それは、子どもの人権に関する私たちの姿勢を問うものでした。

例えば、“子どもを呼び捨てにしている先生がいらっしゃいますね”と言うようなご指摘です。これは私が最も反省しなければいけないのですが、確かにみなさんのお子さんを呼び捨てにしている声をよく聞きます。おそらく親しみを込めてなのだと思いますが、子どもの人権を擁護する見方からすると適切ではないと言われています。全教職員に呼び捨てにしないことを徹底したところですが、次年度に向けて、どのようにお子さんを呼ぶのが適切なのか、みんなで考えてみたいと思っています。また、“未満児の保育室の空間を分ける柵は必要ですか?柵をまたぐ先生がいました”。柵が必要な時期もあったと思いますが、今も必要なのか考える必要を感じました。柵を跨ぐことや保育中の先生の動作は、やはり子どものモデルとなる所作をしないといけないと感じました。

本園では“人権擁護のためのセルフチェックリスト”を実施しています。先生方は日頃の子どもとの関わり方を振り返り、厳しくチェックしていました。ほとんどの先生が言葉掛けや関わりを見直さなければいけないと振り返っていました。自らを厳しく振り返られる先生集団であることは本園の宝だとも思いました。

しかし、保育の実際においては一朝一夕に改善されるというのは難しく、ご指摘のような実態があることに園長として重大な責任を感じています。緊急的に改善しながら、3月末の新年度会議で全教職員一丸となって、子どもを尊重する保育を今以上に突き詰めていきます。                                                         吉田耕一郎

主体的・対話的で深い学び アクティブ・ラーニング

 

未満児さんの3学期は、年齢相応の生活習慣獲得の集大成にして欲しいと願っていますし、以上児さんにあっては仲間との遊びの集大成にしてほしいと願っています。今回は以上児さんの遊びの集大成の意義についてお伝えしたいと思います。

教育は大きく変革し、先生から教わる教授型の教育から、自ら課題や目的を持って取り組む問題解決型の教育に比重が重くなってきています。“探究活動”という言葉が出てきており、以前書きました通り、変化の激しい時代の中で生きることとなる今の子どもたちに必要な力は、解決の難しい出来事に対してひるまずに、最適な回答を得ようとする力だと言われています(エージェンシーとも言います)。その際に、学校教育を貫いて“主体的・対話的で深い学び”を目指すことがうたわれています。具体的な学び方を“アクティブ・ラーニング”といいます。端的に言いますと、子どもたちが自らの興味や関心に基づいて、比較的長期にわたって、ある目的を達成するために様々な取り組みをすることです。例えば、粘土遊びをしていながら、それをお団子に見立てて“お店屋さんをしたい”という発想になり、いろいろな種類のお団子を作ったり、値段を考えたり、レジを考えたりすると言う遊びが広がり深まっていくような姿のことです。実は幼児教育の現場では、平成元年からこのような取り組みを進めてきていました。その意義がますます重要になってきているということなのです。

遊びに対しての大人のイメージは、刹那的(その場だけの)で、積み木、絵本、粘土程度があればいいと捉えられがちです。しかし、本当は、先生の適切な援助や遊具や材料が豊富に用意された環境の中で、主体的・発展的に取り組んでいけるものなのです。この3学期、それぞれの学年で、遊びが深まるように先生方は子どもたちの興味関心に根ざした援助を模索し、素敵な集大成を見せてくれることと思っています。                 吉田耕一郎


事故を予見する力


冬休みを幼稚園で過ごした子どもも、家庭で過ごした子どもも、みんなが登園し、活気が戻りり、3学期が始まりました。私たち教職員も今日を楽しみに待っていました。

 さて今回は表題のことについて書きたいと思います。生きていくということは、様々な事故に会う可能性の中にいるということとも言えます。交通事故は分かりやすい現実です。外を歩いていても、車での家族旅行などでも、事故にあう可能性は常に存在しています。視点を変えて、室内には危険はないかといえば、危険な物・場所がたくさんあります。鉛筆なども危険な物と捉えることもできます。階段という環境も危険な場所になるでしょう。子どもは、そんな中で、身の処し方や扱い方によっては危険度が高くなることを、保護者の注意やちょっとした怪我をすることで学んでいくのです。そして、事故を回避する感覚を得ながら、様々な空間や物との関わりを深めていくのです。
幼稚園も上記の見方で見ると、多くの危険と隣り合わせということになります。私たち教員は、事故となる予見に基づいたり、事故を回避できる力の発達を考慮したりして、遊具や材料を段階的に増やし、その安全(適切)な扱い方を指導しています。その結果、遊びとそれによる学びを深められるとても多くの遊具や材料を扱える環境があることが、本園の特徴の一つともなっています。
しかし、教師側が事故を予見できなかったこともあります。例えば、園児用の折りたたみ机の事故事例が今年度2件ありました。ともに机の足が突然折れて足に机が落ちてきたという物でした。結論から言いますと、その園児用机の構造がいくつかの偶然が重なると足が折れる可能性が伺い知れました。しかしそれを1回目の事故の時には気付かずにいたために、2回目の事故が起きたのだと思うのです。2回目の事故を受けて、同じ構造の机を全て撤去し入れ替えることにしました。
今後、教師側の事故の予見能力を高めながら、場合によっては物的環境の見直しもしつつ、より豊かな経験と学びとなるようにしていきたいと思っています。             吉田耕一郎